夫がお皿を割ったらイラっとする人以外は見ないで欲しい話

夫がお皿を割った。

 

「今日洗い物たくさんあるからお皿を拭くのをお願いしまーす!」

くつろいでいる夫にそう告げるとニコニコとしながら隣に来てくれた。

そこまではいつもの光景だった。

 

夫が1枚目のお皿を取った瞬間、グラっと複数ある食器のバランスが崩れ、一枚の皿が落下した。

 

ガシャン!!

 

「大丈夫? 怪我してない? 大きい破片だけ手で取って……」と割れた皿を片付けながら、私の口から出てくる言葉に刺が混ざっているのを感じた。

 

「大丈夫?」と言いながら正直、私は心の中でこう思った。

あーあ、手伝ってもらうどころか手間増えてる!

 

 

「大丈夫だよ。ごめんね割っちゃったね」と夫は言いながら片付けを始めた。私は少しだけ手伝い、あとは食器を拭くことにした。

 

拭きながらイライラが募ってきた。

(なんで最初の1枚目を取る時に全体のバランスを見て取らないの!)

(結局手間増えただけなんだったらお願いしなきゃよかった!)

 

そう考えながら手を動かしているうちに、夫も片付けが終わったようで食器を拭こうとした。

「もういいから」

私はそう言って断った。

 

夫は静かに去り、ソファに座ってスマートフォンを見始めた。

私たちの間に広がっていたのはシーンとした空間だった。

 

しばらくして1人になった。そうすると色々なことが頭を駆け巡り始めた。

その中のひとつが、私が幼かった頃の記憶だった。

 

 

「さやか、これやっておいて」

母に家の頼まれごとをした私は、マイペースで適当ながら頼まれたことを遂行した。

 

例えば食器洗い。

とりあえず綺麗に洗えておけば、適当でも食器乾燥機に詰め込んで終わりだと思っていた。

 

終わったと告げると母からこんなことを言われるのだ。

 

「ちょっと!! こんな適当にやらないでよ! 食器重ねすぎでしょ! もうお願いなんてするんじゃなかった!!」

 

母の話し方は怒っていなくても怒っているような口調で、子供の私は「いつ怒られるか」という恐怖を抱いていた。

 

食器洗いだけに限らずこんなことは山ほどあった。(山ほどはないかもしれない。でも印象的ではある)

 

 

そして、母から文句を言われるたびにこんなことを思うようになっていった。

「私は悪くない! 悪いのはお母さんだ!」

「やってって言ったのもお母さん。やったにも関わらず怒ったのはお母さん。私はちっとも悪くない。全てお母さんのせいなんだ!!!!」

 

せっかく好意でやったことを責められるのだから、幼い心は自分を犠牲者にしていき「自分は悪くない」と思うことで自己正当化しバランスを保つようになる。

 

そうやって何事も母のせいにしてきた人間が大人になるとどうなるのか。

それは、

自分が望まない出来事が起きると、全て周りのせいだと思うようになる。そして、私は犠牲者なんだという顔をする。

 

そんな風に生きてきて、数年前に指摘されてから気づいては自分を取り戻す訓練をしてきたのだった。(にも関わらず……!)

 

 

昔の出来事がぐるりと頭の中を巡ると、一つのことが頭に浮かんできた。

 

「この瞬間起きたことに意味があるなら、それはどんなことだろう」

 

すると、夫が悪いと心の中で責めている自分に気づいた。

 

「夫のせいにしてる!

とてもしている!!!

夫が100%悪いと思っている!!!」

 

 

しかし冷静に考えてみると、

夫に手伝いをお願いしたのは私。

食器をアンバランスに積んでいたのは私。

アンバランスになっていると言わなかったのは私。

一番不安定なお皿から拭くようにお願いしなかったのは私。

私が悪いと責め立てられるのが怖くて人を責めたのは私だったんだ。

 

あ、悪いのは私だ……!

 

私が悪いんだと気づいた途端、心を取り戻したような、心が真っ直ぐになった感覚になった。

 

そして二つのことが頭に浮かんだ。

 

「このままやり過ごしていつも通り接したらいいかな」

 

「いや、謝ろう。ツンツンした態度を取ったこと。私がバランス悪く積んでいたことが原因だということも」

 

 

どちらにしようかちょっとの間、葛藤があった。

後者の方が良いが、自分のせいだと認めると相手から責められて心がペチャンコになってしまうような怖さが体を巡った。

 

 

でも謝らずになあなあな事なかれな夫婦関係にしたくない。

心から思ったことを素直に話せる関係で在りたい。

それに夫は私を責めることは今まで一度もしたことはない。(私はあるのに!)

 

 

すでに眠りにつき始めた夫の横に行き、謝った。

「ごめんね、ツンツンして」

「いいよ。お皿割ったのはこっちだし」

「ううん。アンバランスに積んでた私が悪いの」

「大丈夫だよ」

 

夫は私を責めずに受け止めてくれた。

ありがとうと思いながら、受け止めてくれたこと、責められなかったこと、謝れたこと、なあなあにしなかったこと、いろんなことに安堵した。

 

 

夫がお皿を一枚割った。

そうしたら私は自分の中にある「ふとしたことで犠牲者になる自分」と向き合えた。

言ってみれば割った夫のお陰である。




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